昨日は、花見に近くの公園に行ったのですが、犬と散歩している人も多かったです。
犬も春になると気分が、高揚するのでしょうね!
犬が元気な姿を見ると癒されますね。
ところで、みなさん。
強暴そうな犬や猫を見ると近付いてきただけで噛まれそう。
と心配になりませんか?
飼い主が鎖を付けているのにも関わらずあまり近づきたくないですよね?
猫なんて気まぐれで飼い主さえも噛まれたり引っかかれたりする方が多いです。
ところで、昔は野良犬とかがいて犬に噛まれていたという話がありました。
最近は野良犬ってほとんどいませんよね?
例えば「ALWAYS 三丁目の夕日の世界」だと、野良犬も多分多かった事でしょう。
漫画ではたまに犬に噛かまれるシーンがありますが、今の日本では、野良犬もほとんどいないので、余程運が悪くないと噛まれるケースって日常ではあまり無いかと思いますが、実際にかまれたらどんな事について注意が必要か?
基礎知識が必要ですね。
今回は犬や猫に噛まれたときの応急処置や犬に噛まれた場合の危険性について記載したいと思います。
犬や猫に噛まれたら!傷跡や腫れの応急処置は?
はじめに「かむ」は噛むと書いてきましたが実際には間違いで動物にかまれた場合は咬むと書きます。
噛むは本来の意味では「かじる」という意味なので、医学的には咬む「上下の歯を強くかみ合わせる」というふうな意味になります。
なので病名も犬咬傷と書きます。
ということでこれ以降は咬むとかきますね。
まず犬や猫に咬まれると、軽い場合は内出血で終わりますが、ひどい場合は出血を生じます。
どんな場合が内出血かというと服の上から咬まれた場合に歯が皮膚を突き破らなかった状態です。
内出血の場合は表面に血が出なく、皮膚の下で出血が起こって腫れるような状態です。
いわゆる打撲と同じ症状が生まれます。内出血のみの場合は通常はそのままほっといて治ります。
適切な治療が必要な場合は歯が刺さり出血した場合です。
出血を伴い傷が深い場合は、治癒が長引く事になるので、その点は留意しておきましょう。
特に高齢者の皮膚が弱い場合は服の上から咬まれて服が破けていなくても、皮膚の表面が破れ出血する場合があります。
しかしながら、歯が服を貫通したり直接歯で咬まれた場合は出血することが多いです。
血が出るような傷の場合は、止血することも大事ですが何より感染症対策が重要です。
人の口腔内はバイ菌が多く汚いと言われていますが、犬や猫の口腔内にも多くのバイ菌が生息しています。
咬まれて皮膚を貫通してしまうと体内にバイ菌が侵入してしまいます。
咬まれて出血している場合の初期治療は傷をふさいで止血するのではなく、止血は行っても安易に傷をふさぐようなことはしてはいけません。
傷をふさいでバイ菌を留めておくと、バイ菌が筋肉や皮下に広がり感染の範囲が広がるだけではなく、皮膚が壊死したりする可能性があるからです。
外来で処置する場合は静脈性の出血であれば軽度の圧迫で止血できるため、傷はそのままにむしろ傷を開けておくような処置を施すこともあります(後述します)。
※ただし動脈性の出血(拍動性でありどくどくっと波打つ様な状態)の場合は止血をしておかないといつまでたっても血が止まらないこともあります。
そして流水でよく傷口を洗ってください。
よくシャンプーではシャワーで流すだけで頭皮の汚れが5割以上落ちるといわれますが、傷口にもいえることで大量の水で洗うことでバイ菌も落ちていきます。
海外の報告では傷口を大量の水で3回洗うとバイ菌が約9割流れ落ちるといわれています。
また、皮質汚れが気になる場合は石鹸をよく泡立だてて泡で洗えば表面の汚れは落ちます。
犬に咬まれた患者さんの治療をしていて気づくのですが、咬まれた後の傷の深さって約1㎝以上あることもざらにあります。
それだけ深いところに刺さっているってことは深いところにバイ菌が入り込んでいることになります。
猫は深くても5mmぐらいですが猫も歯はするどいので深く刺さりますよ。
それだけ深いところに刺さっているので何度もいいますがしっかり洗って下さいね。
感染症対策の基本処置として大事なのは流水で傷口をよく洗う事ですよ!
また、洗うのは水道水でよいです!
日本の水道水は飲めるような基準で設置されており、洗っても問題ありません。
ただ、注意が必要なのは表面ではなく傷の中を洗うことです。
スポイトなどで中を洗うことができればベストですがそんなもの持っていない人が多いと思います。
医療機関では噛み傷が深い場合は傷口をピンセットで広げて奥を洗うこともあります。
また傷が深かったり、感染症が疑われる場合はドレーンといって傷の口の中にゴムチューブのような管を入れて中に入っているバイ菌を持続的に排出するような処置を行うこともしばしばあります。
そして皆さん勘違いされることが多いんですが消毒はほぼ効果ありません。
消毒はバイ菌が一時的に死んでしまうだけで傷の奥に入ってしまったバイ菌はすぐ繁殖してしまいます。
それじゃ傷の中を消毒液で洗ったらいいんじゃないの?
と考えられるかもしれませんが消毒によって正常な細胞が破壊されるためバイ菌は死んでも正常な細胞が死んだために傷の治りが遅くなるケースがあります。
そして必ずといってよいほど筋肉の奥に入り込んだバイ菌が後から繁殖してきます。
消毒は傷の付け替えなどで表面のバイ菌を落とす場合に使う程度です。
ただし消毒を使用しなくても流水で洗えば皮膚表面のバイ菌も流れおちるので一石二鳥です。
咬まれた後は歯で穴が開いていないか確認(出血の確認)
→NO 様子をみてよい
→YES 表面を泡石鹸でよく洗い、流水で傷口をよく洗ってください。
さらに咬まれた後は腫れも残ってしまう事もあります。
バイ菌が傷の中で繁殖してしまうと時間が経過しても治らない場合もあります。
応急処置が終わったらすぐに病院へ行きましょう。
実際、洗ってもばい菌は100%なくなるわけではないので抗生剤を飲んでバイ菌の繁殖を防ぎます。
そのまま放置すると傷跡が残ったり何週間も腫れが引かないケースや熱を伴った腫れが残ったりと多種多様です。
では、実際に犬や猫に咬まれた時は何科に行けば良いでしょうか?
まずは外科に行けば無難です。
そこで、もし対処できない場合は他の科を紹介してくれたり、紹介状を書いてくれたりします。
間違えても動物病院に行かないようにしましょう!
まれに気が動転して行ってしまう人もいらっしゃるようです。(笑)
また補足として犬に咬まれた場合、傷が深いと神経も傷つけてしまう事もあるようです。
そうすると咬まれたところがしびれを起こします。
そう考えると外科では対処できないこともあり整形外科での対処となります。
犬に咬まれて数か月たってもしびれが残らない場合は整形外科を訪ねてみるのも頭に入れておきましょう。
膿や破傷風についてもチェック!
犬や猫の歯は人間以上にするどいです。
人間が噛むのと訳が違うのです。
見た目は大したことなくても鋭利で、実際にはかなり深い傷を負っている可能性があります。
実際に犬に咬まれた人の傷の深さを計測して約15mmだったこともあります。
それだけ奥深くにバイ菌が入り込んでいることになります。
そうなると、傷跡にバイ菌が入った状態でほおっておくと次第に化膿してしまい、最悪の場合は筋肉や腱が壊死してしまう可能性もありますので、しっかりした対処法が必要です。
感染症を起こしたり化膿や組織の壊死が起きた場合は、壊死した組織を切除しなければなりません。
過去に指を咬まれたて適切な治療を行わずに放置していた方を治療したことがあります。
その方は指の腱に感染が起こり周囲の組織が壊死したため腱を取りました。
腱を取ってしまったことによって指が曲がらなかったり伸ばせなくなって最終的に腱の移植を行いました。
治療にはリハビリを含め数か月かかっています。
なので化膿を起こしてしまうと大変です。
化膿とは傷の中にバイ菌が繁殖して感染症が起きている状況です。
入院して手術をしないといけないこともしばしばあります。
なので化膿しないための予防をしっかり行いましょう。
しかし、素人が治療をすると、お勧めできない理由があります。
傷は単に消毒しておけばよいっていうわけではありません。
前述しましたが消毒液だけでは表面のバイ菌しか死ないため注意が必要です。
犬の口腔内には様々なバイ菌がありますので、咬まれたところがばい菌で侵されてしまいます。
傷が塞がっても適切な処置を怠ったために、ばい菌ごと閉じ込めてしまっては元もこうもありません。
ですから何度も言いましたが咬まれたときは傷の中をしっかり洗い流さないといけません。
放置しておけば、いずれ治る傷でも、感染症の危険があります。
傷がどんな風になったら感染症を疑うかというと
①いつまでたっても傷が痛い ②傷周りが赤い ③腫れが引かない ④熱をもっている
この症状がある場合は感染症の可能性があります。
もし咬まれた場合は、くどい様ですが、病院で見てもらう事をおすすめします。
感染の可能性を残したまま傷を閉じ込めるとそのままバイ菌が中に閉じ込められてしまうので、注意が必要です。
それを放置してしまうと感染が広がり膿がでてきてしまいます。
膿
目安としては3日から1週間腫れや痛みが続く場合は注意が必要です。
傷の中でバイ菌が繁殖してしまいばい菌と戦った白血球の死骸が溜まって膿になります。
膿が出る=バイ菌によって感染症が起きているってことです。
膿が出るぐらい感染が酷くなると治療に長引いてしまいます。長い人で月単位で治療が必要になってくる事もあります。
治療は傷口を広げて中を洗ったり、持続的にバイ菌が傷の外へ出ていくように管を入れたりします。
ちなみに犬の感染症で重症化しやすいバイ菌でパスツレラ菌がいるのですが犬の口腔内には5〜10%。
猫の場合は80%も居ます。
なのでは猫の場合は咬まれたらほぼパスツレラ菌が傷口に入ってしまうので感染症が発症してします可能性があります。
犬以上に注意が必要です。
パスツレラ菌に感染してしまうと特に手などを咬まれた場合は腱や筋組織の間に入り込んでしまうので感染が拡大し3倍ぐらいに腫れ上がってしまいます。
たとえば指の腱に感染してしまうと最悪の場合、指の曲げ伸ばしができなくなるケースもあります。
ただし抗生剤を飲めば感染症の予防ができますので安心してください。
そして犬の場合は咬む力が強いので、先ほど記載した通り傷跡が残りやすく、神経も傷つけてしまう事もあり回復まで時間がかかる可能性があることをご留意して頂ければと思います。
そして皆さんが感染症の中でも気になっているのが破傷風ですね。
破傷風とは?
破傷風に感染すると最悪の場合、命を落とされる可能性も高いので注意が必要です。
破傷風は主に傷口から感染します。
破傷風は潜伏期間があります。
その期間は、3日~数週間なので、注意が必要です。
ただ、ここでひとこと言わせてください!
犬の口腔内には破傷風の菌は居ません!!!!
、、、、、、えっ?!じゃあどこにいるの?!
実は破傷風は主に土の中に潜んでいます。
野良犬や野良猫が土を噛んだ後であったり、土がついた爪で引っ掻かれた場合は破傷風の可能性があります!
なのでそんなに心配はいらないってことですね。
ところで、日本では破傷風の感染予防が義務付けられていますが、
効果は10年程だと言われています。
小学校6年生の時に最終ワクチン接種がおこなわれるので約22歳ぐらいまでは免疫が保たれています。
成人の場合は免疫がなくなっていると考えて予防処置を取ります。
1回目のワクチン接種後に4〜6週間後に1回、6〜12ヶ月後に1回の計3回打つことで3〜5年の免疫効果が得られます。
小さい時に破傷風の感染予防を受けた人でも大人になってから犬に噛まれたり引っ掻かれた人は要注意ですね!
しかもお年寄りが噛まれた場合は免疫力も落ちるので、普通の成人男性よりも気を付けた方が良いでしょう。
そして感染症で、さらに危険なのが、咬まれると怖いのが狂犬病です。
狂犬病とは?
狂犬病は感染してしまうとほぼ100%の確率で命を落とすと言われている危険な病気です。
日本ならば、犬に対し狂犬病のワクチンを打つことが義務付けられていますので危険性はありません。
というより1957年以降、日本に生息する犬から噛まれたケースでの狂犬病の発症はありません。
なので日本で犬に噛まれた場合は心配いらないでしょう。
しかしながら海外では犬に咬まれて狂犬病で亡くなっているケースもありますので注意が必要です。
海外渡航時の展途上国へ行った際に犬に噛まれてしまった場合はワクチン接種が必要になる場合があります。
ちなみに日本でも人に対し狂犬病のワクチンを打てますが確か全国で2施設ぐらいしかありません。
少ないんです。
言葉を返せばそれだけ日本では感染の可能性が限りなく低い病気ってことですね。
まとめ
いかがでしたか?
今回、犬や猫に咬まれた場合の対処法について説明しました。
犬や猫に咬まれた場合の対策と怖さを知っていただけたかなと思います。
犬や猫の口内には様々なバイ菌が潜んでいます。
傷が小さかったからといっても油断はしないでください。
重症化したらほんとに治療が大変です。
まずは咬まれたら傷の大小にかかわらず適切な対処をしましょう。
咬まれた場合まずはしっかり流水で洗う!!
破傷風や狂犬病は、最悪の場合命の危険性もありますが正直、感染する可能性は低いです。
しかしながら破傷風の予防接種はしましょうね。
そして、犬や猫に咬まれたら大小を問わず病院へ行ってくださいね。