こんにちは寒くなり咳をする方も多くなる冬の季節、滑って胸を打って肋骨が折れたかも?と思われる方もおられるのではないでしょうか?
今回は比較的頻度が高い骨折である肋骨骨折について解説します。
症状や痛みのピーク、また治療のひとつであるバストバンドの固定期間や効果について
また若者と高齢者の違いについても解説します。
症状や痛みのピーク
肋骨骨折の症状は深呼吸時の胸部の痛みや寝ている時の体動時の痛みです。
重たいものを持ったり、背伸びをしたり、咳をすると痛みが強くなったり、
痛みがある部位を指で押すと痛みが強くなることが特徴的です。
痛みによって息苦しさを感じられる方もまれにおられます。
痛みのピークは約3日~1週間程度です。
差があるのは骨折と思ってなくて病院に受診されない場合があるからです(その間、安静にせず無理をされているからです)。
痛みが1-2週間続いているから受診して肋骨骨折が分かる場合も時々あります。
原因
原因は胸を打撲することにより骨折する場合が多いですが、喘息の方などよく咳をする方にも肋骨の疲労骨折を起こる場合があります。
病態
肋骨は肺や心臓を守る盾の役割をした骨です。
肋骨は背骨から始まり、胸の前部では途中から軟骨になり胸骨という胸の中心にある胸骨にくっつきます。
呼吸では胸の前部の軟骨が伸び縮みすることで肺が膨らむことができます。
また肋骨は脇腹など筋肉や脂肪が少ない部位は衝撃をダイレクトに受けやすいです。
なので、打撲による骨折を起こしやすいのです。
慢性的に咳をする方は負担がかかりやすい側部の肋骨に疲労骨折を起こる場合があります。
診断
圧痛部位が肋骨上にあるかを確認しレントゲンで骨折の有無を確認します。
もし骨折が分からない場合や、肺がしぼんでいたり、胸に水が溜まっているようであれば折れた骨が肺に刺さり血胸を起こしている可能性がありますのでCT撮影を行います。
また肺がしぼんでいる場合は肋骨骨折ではなく気胸の場合もありますので同時にCT画像で判断します。
画像で異常がない持続する肋間部の痛みには肋間神経痛を疑いまます。
また左胸にかけての痛みがある場合は後で説明しますが心筋梗塞などの可能性もあります。
治療(バストバンド)
基本的には体幹を固定するバストバンドを装着にて治療をおこないます。
バストバンドの効果や役割は呼吸時の肺の広がりを抑える役割です。
呼吸時に肺の広がりを制限することで呼吸時の骨折部への動きが制限され痛みの軽減になります。
バストバンドのつけ方は息を吐いた後に固定してください。
深呼吸して固定した場合は息を吐いた後にバストバンドが緩むため効果が半減します。
バストバンドの固定期間は約4~8週間です。
骨がくっついて痛みが完全になくなる時期がその期間だからです。
バストバンド以外の治療は痛み止めの内服やシップで疼痛コントロールを行います。
高齢者の場合は?
比較的若い方の場合は胸をうったとか、咳をしているからなど原因がはっきりしていることが多いです。
しかしながら、高齢者の場合は原因不明の胸部痛を訴えられてこられる場合があります。
原因不明の場合は肋間神経痛を考えますが、心筋梗塞や大動脈解離など深刻な胸部痛の症状があるので注意して診察する必要があります。
治療はバストバンドを固定します。
高齢者の場合も若者と同じく4~8週間の固定で骨はくっつき痛みは改善します。
子供の場合は?
遊んでいてこけて胸をぶつけた、小児喘息もちであるなど原因がはっきりしていることが多いです。
子供の場合は骨がくっつくのが早いので約2~4週間のバストバンド固定で症状が改善する場合が多いです。
今回は代表的な骨折である肋骨骨折について解説しました。
比較的起こりやすい骨折ですが診断と適切な治療が行われればきちんと後遺症なく治りますよ。