こんにちは!
今日は暖かい日だったので、先週、ほとんど桜が咲いていなかった公園に行き、花見を見てきました。
満開で、普段の10倍位人がいました。
公園は温かく、小さいな赤ちゃんなどもいました。
さて、赤ちゃんと言えば、最近注目されている症状があります。
その症状は股関節脱臼(こかんせつだっきゅう)です。
脱臼って聞くと凄く痛いイメージですよね。
赤ちゃんはどんな症状がみられるか気になりますよね?
今回はこちらのテーマについて書きたいと思います。
赤ちゃんの股関節脱臼の症状とは?
赤ちゃんの股関節脱臼をご存知でしょうか?
既に大きな子供がいる家庭では知らない方もおられるかもしれませんが、
2016年の4月より母子手帳の副読本にも記載するようになり、小さなお子様がいる家庭では、もしかしたらご存知のかたも多いかも知れません。
赤ちゃんのケースの場合、先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)と言われ、すぐに発見すればいいのですが、遅れて発見されると脱臼がなかなか治らず入院しての治療が必要となる事もあります。
確率としては0.1~0.3%ですが、大体1000人いれば1人から3人はいるので少ない数ではありません。
また発見が遅れてしまい1歳を超えた場合でも多くは歩くことができます。
しかしながら、片方の股関節の脱臼だと片足を引きずって歩くような歩行が見られます。
また、両側性だと骨盤が傾くことによりアヒルのような歩き方になってしまうことがあります。
いずれも早期発見がカギとなります。
先天性股関節脱臼といわれるように、以前は生まれる前からの症状であったと考えられていました。
最近の報告では、生まれた時にすでに脱臼している(先天性)ケースが少なく、生まれた後(後天性)になんらかの原因で脱臼を引き起こすケースが多いとの報告があり、後天性が約9割だという事がいわれています。
なので先天性股関節脱臼ではなく発育性股関節形成不全(はついくせいこかんせつけいせいふぜん)と診断されたりもします。
先天性の原因として、お母さんのお腹のなかで、なんらかの力が入り脱臼してしまうケースや逆子で生まれた時に足を引っ張ってしまい脱臼してしまう赤ちゃんが約1割です。
後天性の原因として、骨盤の形態や抱っこの仕方などが関連しているといわれています。
女の子に多く、発症確率は男の子と比べるとなんと約10倍も発症する可能性が高いです。
成人でも女性は男性より骨盤が広いをいわれますが、新生児の場合も同じで生まれつき骨盤が広いため男の子より女の子の方が脱臼しやすい傾向にあるようです。
これは骨盤が広いことにより足が外側に位置しており、出産の際に足が引っかかるためだといわれています。
通常は生後3~4ヶ月の健診で判明する事もありますが、その際に症状がなかったりすると見逃される事もあります。
なので1歳以降など歩き始めた時期で発見されることもあります。
発見が遅れれば遅れるほど足の骨をささえる骨盤の成長が悪くなり、将来的に手術になる可能性があります。
骨盤の成長が悪い状態を医学用語で寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)といいます。
普段から赤ちゃんの家族が気付いてあげて、早期に発見できれば、治療でほとんど治るのでご安心してください!
寛骨臼形成不全について先に補足しておきます。
寛骨臼形成不全とはなに?
寛骨臼形成不全とは骨盤の骨である寛骨臼の成長が悪く、大腿骨をささえる部分の面積が小さいことをいいます。
よく外来では大腿骨を支える屋根のかぶりが浅いと表現します。
診断がつくのはおよそ14歳以降でスポーツが盛んな時期に股関節痛で受診した際に診断されたり、20代30代で仕事が忙しくて股関節痛を認めて受診されるケースもあります。
赤ちゃんのころ股関節脱臼と言われたことがある方は成長の過程で寛骨臼形成不全症になる可能性が大きいので大人になっても気にかけてくださいね。
ちなみに寛骨臼形成不全は痛みの症状がでなければ治療の必要性はありません。
寛骨臼形成不全があっても一生痛みが出ない人もいるぐらいですから。
寛骨臼形成不全で痛みがでる病態に関してはまた今度解説します。
次はチェック方法について解説していきます。
チェック方法について!
股関節脱臼の危険因子は以下の通りです。(%)は2013年の全国施設調査の結果
① 女児(約90%)
② 左側(約70%)
③ 発育性股関節形成不全や変形性股関節症の家族歴(約30%)
④ 第1子(約50%)
⑤ 出生直前骨盤位「逆子」(約20%)
⑥ 秋冬生まれ(約70%)
それでは股関節脱臼のチェック方法について記載したいと思います。
まず赤ちゃんの股の関節を見ましょう。
向き癖と反対側の股関節の開きが不十分であり、膝を立てたような姿勢でいることが多いです。
そして開きが悪いほうの股の付け根のしわが深く、はっきりしています。
危険因子にも書いていますが他にもいくつかチェック方法がありますので、いくつか当てはまっていれば、あやしいと判断した方が良いでしょう。
・女の子である
・両足の長さが微妙に違う。
特に膝を立てた状態で左右差があれば要注意です。
股関節脱臼している足の方が長さが短いです。
(足の長さが違う事によりオムツが片方だけ入りずらいというのもありますので、こちらでも確認が出来ると思います。)
・太ももや付け根のしわの位置や数が左右対称であるかどうか
股関節脱臼がある足の方は脱臼により脱臼した足の骨が筋肉により後ろに引っ張られるために股関節の付け根に脱臼していない方よりしわの溝が深く、はっきり見られます。
・逆子で生まれた
骨盤位であると胎内で股関節の動きが悪くなるため、骨盤の成長障害を起こしたり出生時に足が引っ掛かることがあり股関節に脱臼をきたす可能性があります。
・家族にまた関節の悪い人がいる
股関節脱臼の赤ちゃんの約3割に両親が子供の時に股関節脱臼と診断されたことがあったり、大人になって臼蓋形成不全と診断されたことがあるとの報告があります。
それは骨盤の形が遺伝するからなんですね。
痛みは?
さて、脱臼と聞くとまず大人ですと痛い!!!!!
というイメージがあり、すぐに異変に気付きますね。
しかし、赤ちゃんの場合は痛みが殆ど無いため、泣く事が無く発見が遅れる事があるんです。
それは骨が成長していないことや関節がとても柔らかいため容易に脱臼するためです。
乳児健診で異常はみつからず、1歳以降にこの病気が気付くパターンが多く問題になっているようです。
もし家庭においても注意して赤ちゃんを見てあげて、おかしいなと思ったら病院にいって診てもらう事をおすすめします。
オムツ替えや抱っこの仕方について解説!
さて、股関節脱臼は普段の何気ない事でおこる可能性があります。
例えばオムツ替えです。
オムツの替え方
オムツ替えのときは、左右の足裏をくっつけ、やさしく持ち上げてオムツを交換します。
無理に足などをひっぱってしまうと脱臼してしまうので注意が必要です。
オムツ交換をする時は、腰を下から持ち上げるようにする事が理想的です。
次に抱っこの仕方です。
抱っこの仕方
抱っこの仕方は、「コアラ抱っこ」を推奨します。
「コアラ抱っこ」とはちょうどコアラのような抱き方を想像して頂ければと思うのですが、
股関節と両膝がM字に曲がった状態で、お母さんの胸にしがみつく方法です。
足を伸ばした状態で抱っこするのが理想的です。
くれぐれも横抱きはやめましょう。
その他にも注意点があります。
例えば、暑い時より寒い時の方が発症しやすいそうです。
というのは、寒い時は厚着なので、股関節の動きが妨げられるからです。
赤ちゃんを寝かすときは自然に足を動かしやすい状態で寝かしてあげる事もポイントです。
また赤ちゃんの足を動かしやすいような服装を選んであげましょう。
例えば、生地がやわらかいもの、赤ちゃんのサイズにあったもののなので、普段から赤ちゃんの着るものには注意が必要です。
治療法は?
さて股関節脱臼は、軽度のものと重度のものがあります
軽度のものは、脱臼した関節をもとの位置に正しく治すことで自然治癒で治る場合があります。
しかしながら時間がたってしまいすぐ脱臼するような状態であれば固定をしないといけません。
「リーメンビュゲール」という装具があるのですが、この装置を約3か月間付けることによって治療を行うことがあります。
いわゆるM字開脚矯正器具のようなものです。
肩から足まで装着しなければならず、見た目に最初は抵抗がある人は多いかと思います。
最初は、赤ちゃんも抵抗があるようですが、次第に慣れて来るようです。
発見が早い場合は、経過を見ながら外来で治療をおこないます。
しかし、発見が遅れて1歳頃になると脱臼がもとに戻らなかったり、脱臼を征服してもすぐに外れてしまう場合には入院での治療が必要になる可能性が高くなります。
持続的に足を引っ張る「けん引」が必要になってきたり、さらにそれでも脱臼が戻らず安定しない場合は手術が必要となるケースもあります。
病院は整形外科がある病院を受診してくださいね!関節の専門分野です!
整形外科では脱臼があるかどうかを身体所見やレントゲン、エコーなどで調べ、適切な治療方法を選択していきますので安心して任せてください。
まとめ
先天性股関節脱臼は何といっても早期発見が大事です。
また普段からの赤ちゃんとの接し方も重要で、赤ちゃんに股関節に負担がかかっていないか常日頃から診てあげましょう。
普段からのオムツ替えや抱っこにも注意したいところですね。
先程記載した通りチェック項目をみて少しでも怪しいと思ったらかかりつけの病院で診てもらいましょう。